CL決勝はマドリードダービーに。バイエルンとマンCが敗れた理由

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Getty Images

 R・マドリードのサッカーも決して褒められるものではなかった。アウェーゴールを恐れていたはずなのに、好ましくないボールの奪われ方を随所で繰り返した。アトレティコが相手なら、やられていた。そう思いたくなる戦いぶりだった。それが接戦の割に好試合度が低かった原因だが、ジネディーヌ・ジダンの采配には見るべき点もあった。

 後半11分、ルーカス・バスケスを右ウイングに投入。クリスティアーノ・ロナウドをセンターフォワードのポジションに1トップとして置いた采配だ。

 最も守備をしない選手を、センターバックという最も攻撃に参加してきそうもない相手選手の前に置く作戦。0トップの発想にも通じる布陣を取ったことで、残る9人のフィールドプレーヤーは「4−5」−1の中に、きちっと収まることができた。これで穴はなくなった。マンCの後半の戦いが迫力不足に終わった理由とそれは深い関係にある。

 ルーカス・バスケスと交代でベンチに下がったのはヘセ・ロドリゲス。カリム・ベンゼマが欠場したことでこの2人のスペイン人選手に出場機会が訪れたわけだが、ガレス・ベイルを含めたB・B・CがFWの3枠を占めるより、こちらの方がサッカーそのものは安定して見える。

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