「ドイツとは全然違う」。乾貴士が痛感したスペインサッカーの難しさ (3ページ目)

  • 山本美智子●取材・文 text by Michiko Yamamoto ラファ・ウエルタ●撮影 photo by Rafa Huerta

 攻撃陣のレベルの高さは、エイバルも例外ではない。たとえば、乾が初アシストをあげた時にゴールを決めたボルハ・バストンは、今季リーガのゴールランキングトップ10に入っており、6年前、17歳のときにアトレンティコ・マドリードでトップデビューを果たしている選手。その後、十字靭帯を痛めて挫折を味わうも、そこから再び這い上がってきた23歳の苦労人で、今季のエイバルの攻撃の要だ。

 乾が練習場でインタビューを受けている最中、チームメイトが次々に乾に声をかけていく。そのうちのひとりに「よう、ウルグアイ人!」と乾が声をかける。「違うよ!アルゼンチンだから!(笑)」そう答えるのは、ゴンサロ・エスカランテ。乾が特に親しくしているチームメイトのひとりで、ボカジュニオルズのユース出身だ。子どもが生まれたから、誰それの誕生日だからと、ふだんからそれぞれの家に招き合い、夕食を共にすることが多いという。

 すっかりチームに溶けこんだ様子の乾だが、それとクラブ内のポジション争いはまた話が別だ。「正直、チームメイトがこんなにうまいとは思わなかった」と、日々の練習を共に行なう同僚たちのレベルの高さに乾は舌を巻く。

「こんなに試合に出られなくても、腐らずやれているのは人生で初めてかもしれません」と言う乾。それは、チームメイトの実力を認めているからこそ。「毎日の練習がアピールの場」であり、「きちんとやらないと出られない」と危機感を持ち続けている。

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