「ドイツとは全然違う」。乾貴士が痛感したスペインサッカーの難しさ (2ページ目)

  • 山本美智子●取材・文 text by Michiko Yamamoto ラファ・ウエルタ●撮影 photo by Rafa Huerta

 一方で、スペインだからこそ生かせる乾の持ち味もあった。そのひとつが、ボールを持った時にひとり、あるいは複数の相手をかわして、攻撃のリズムを作ることだ。しかし、ドイツではそういった特長を生かせず「封印していた」と言う。

「ボールを持った時も、ドイツではあまり仕掛けるなと言われることが多いです。仕掛けることを好まないというか、パスを出すことを優先する。でも、こっちでは仕掛けてもいいし、何をしてもいい。自分の好きなこともやっていいし、そのなかでチームでの役割もやるという印象です。言い換えると、いろんなことをやらないといけないということでもありますね」と、自らに課された課題を意識しながらプレーしている。

 乾自身、「自分に合っている」と思っているリーガ・エスパニョーラだが、だからといってすぐに出場できるわけではなかった。その理由は、スペインリーグ全体のレベルの高さにあった。

 過去、リーガ1部でプレーした日本人FWは、城彰二(99-00シーズン/2得点)、西澤明訓(00-01シーズン/0得点)、大久保嘉人(04-05シーズン/3得点、05-06シーズン/2得点)らがいるが、ゴールを量産できずにスペインを去っている。2年前の2014年には、ハーフナー・マイク(現在オランダリーグのデンハーグ所属)がコルドバでプレーしていたが、5試合出場無得点に終わり、2年契約の途中、わずか半年でスペインを後にした。

「こっちに来ると、小さいクラブでもうまい選手が多い。特に前線に。だから、日本人アタッカーがスペインでなかなか成功できないのかな」と乾は分析する。

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