優勝に王手。岡崎慎司は「オールド・トラフォード」で英雄になる (3ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke  photo by Getty Images

「俺の考えでは、レオ(・ウジョア)は、『ゴール前にいるべき選手』。だから、あいつがボールを競り合い、そのこぼれ球を俺が拾う形を出そうと思った。あいつのパワーをセーブさせ、ボールを奪ったときに前線にいるようにさせておく。ジェフ(・シュラップ)のパスからボールを押し込んだウジョアのゴール(※スウォンジー戦・3点目)も、その流れで決まった。自分としては(ゴールが奪えず)悔しいんですけど、それは自分が生きるための方法でもある。あいつの動きと被らないようにした」

 言うなれば、最前線に近い位置でプレーするバーディーの役割をウジョアに託し、岡崎はその後方で支えながらゴールを目指した。バーディーの代わりに入ったウジョアが2ゴールを挙げる活躍を見せたが、その裏では、補完性を考えながら献身的に走り回る岡崎の姿があったのだ。

 だが、反省も口にする。口をついて出たのは、やはりゴールを奪えなかったことへの悔しさ。28分には右足でシュートしたが、DFに当たって枠内に飛ばなかった。67分にもペナルティエリア内からシュートを打つも、芯に当たらなかった。

「守備をやったうえで、後半にゴールチャンスもあった。ゴールを決める奴は、ああいうところで簡単に決めてくる。リヤド(・マフレズ)の先制点もそうです。あのゴールも全然簡単じゃないと思うけど、当たり前のように決める。自分とバーディー、そしてリヤドとの差は、その点に尽きる。冷静に踏ん張って、狙いどおりのシュートを打てるのは、ゴールを決めてきた奴の自信。しかし、俺にはあそこまでの余裕がなかった」

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