香川真司、今季8得点目の意味。求めてきた「パワーとスピード」

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by Getty Images

 この日の香川の先制ゴールには、特徴的なところが2つあった。

 まずはスピードに乗った得点であるということ。前半21分、左サイドをドリブルでミキタリアンが切り裂く。初速はあのウサイン・ボルトにも勝るといわれるオーバメヤンほどではないものの、ミキタリアンとマルコ・ロイスというドルトムントの看板2枚は揃って快速を誇る。中でもミキタリアンは単に走りが速いだけでなく、ボールを持たせても速い。

 そのミキタリアンがディフェンダーの裏を通して中央に送ったボールは、良質だが高速だった。香川はそこに全速力で走り込み、ボールに右足を丁寧に合わせた。味方のスピードへの対応は香川が昨季から口にしてきた課題だ。最近では17歳のクリスチャン・プリシッチも高速ドリブルを武器としており、彼らとともにプレーする以上、スピードとは常に向き合わなければならない。

「前に行く個の力が強い選手が多くて、僕自身、刺激になる。もっとパワーもスピードも、トップスピードの中でどれだけできるかにこだわってやっていきたいと思います。うちは速い選手が多いですし、技術も高い。自分自身も、馬力じゃないけど、そういうところでもう一個前に行けるように、球際などもやるところがあるのかなと思います」

 スピードでも、特にアジリティといわれる類のものは一朝一夕でつくものでないことはわかっている。だが、地道に向き合ってきたひとつの結果がこの日のゴールだった。

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