C・ロナウド3発でレアル逆転勝利。見えた「個人の力」の魅力と限界 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 中島大介●撮影 photo by Nakashima Daisuke

 一方で、それは個人の調子がピッチにそのまま反映されやすいサッカーでもある。この日、C・ロナウドはよかった。ベンゼマも上々。しかし、ベイルはサッパリ。存在感ゼロだった。コンビネーションがないので、調子の悪さが必要以上に目立ってしまう。

 このバラバラな関係が、最も悪影響を及ぼすのは相手ボール時だ。FW3人が的確にポジションを取ることができず、右、左、真ん中の3コースを塞ぐことができていないので、攻守が切り替わった瞬間、特に相手のサイドバックの攻め上がりを許すことになる。抜け道を作ることになるのだ。プレスの掛かりは悪い。

 前半17分から後半32分までのおよそ1時間。R・マドリードが攻めあぐんだ理由だ。3FWのバラバラな動きは、相手ボール時になると脆さを発揮するという大きな弊害に繋がった。

 ボールは繋いでいても、点から点なので、エリアを支配できていない。C・ロナウドという「点」がいくら大きな存在でも、それはエリアを支配したことにはならない。サッカーを陣取り合戦という視点で眺めると、そのサッカーは物足りなく映る。

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