「憧れのゴンさんのように」。
30歳になっても岡崎慎司はうまくなる

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke  photo by AFLO

 一方、守備時になれば、自陣まで戻ってディフェンスに走る。相手がクロスボールを上げそうになると、自陣のペナルティエリア付近まで戻ってマーク。あるいは、お世辞にも守備意識が高いとは言えないMFリヤド・マフレズが不用意な形でボールを失えば、最前線から猛然とダッシュし、彼の持ち場である右サイドをカバーした。試合後のクラウディオ・ラニエリ監督は、「チームが守備を固められるように、シンジには高い位置でプレスをかけるよう指示を出していた。働きはファンタスティックだった」と、守備の出来にも満足していると述べた。

 この日も岡崎のポジションは、バーディーのやや後方のセカンドトップ。1.5列目から最前線に飛び出し、最終ライン近くまで下がって守備陣もサポートする──。そんな攻守両方でタスクを抱えるセカンドトップを円滑にこなせるのは、やはり岡崎の「脚力」、そして「賢さ」があるからに他ならない。

 人よりも多く走ることで最前線と中盤の「橋渡し役」として機能しているが、その動きの「質」も背番号20は優れている。危険を察知すれば自陣までカバーに戻り、チャンスと見れば敵へのプレスを強める。他方、アタック時もスピード抜群のバーディーがボールを持てば、少し遅れてフリーエリアに飛び込むことで、ペナルティエリア内でクロスボールを誘い込む。こうした一連の動きを、圧倒的な運動量でこなしているのだ。

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