バルサ戦のカギ握るアトレティコのグリーズマン。「10クラブで落とされた」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images

 グリーズマンは煙に巻くように言うが、その存在感は傑出している。国内リーグでは32試合すべてに先発出場し、チームトップの20得点でゴールランキング上位につける。左利きのキックセンスは極上だが、特筆すべきは戦術的適応力にある。アトレティコは試合の中でも4-4-2、4-3-3、4-2-3-1など、フォーメーションを頻繁に変えるが、彼はその変化に難なく順応。周りの選手を輝かし自分が生きる術を心得ている。

 普段はどこか落ち着きのない青年だが、ピッチに入ると雰囲気が一変する。

「試合前は緊張したり、いろいろ考えてしまうんだけど、試合開始のホイッスルが鳴って、ボールを触った瞬間、そういうのは全部忘れてしまう」

 グリーズマンはそう自己分析しているが、直感力に優れたタイプかもしれない。どこか人を食った無邪気さもある。夏でも長いシャツを着て、袖を指でつかんだりしている。その姿は道化じみているが、その真意を尋ねると、「ベッカムのマネしてるだけ」と妙に子どもっぽい。

「グリーズマンは"メッシ後"のバロンドール有力候補」
 
 そんな声も聞かれるようになった。彼はいったい何者なのか?

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