マンUは週給4000万円提示。「優勝請負人」ズラタンの市場価値 (4ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi  photo by AFLO

 そのズラタンのメンタリティを象徴するエピソードとして、優勝を決めたトロワ戦での舞台裏の出来事が挙げられる。3点をリードして迎えたこの試合のハーフタイムに、ズラタンが右SBのグレゴリー・ファン・デル・ヴィールのプレー内容に注文を付けたことがきっかけとなり、ロッカールームでふたりが衝突。激しい口論となった末、ファン・デル・ヴィールが自ら交代を申し出てピッチを離れると、後半にズラタンが4ゴールを叩き出し、リーグアン史上最多ゴール数での勝利につながったのだった。

 これこそ、常に高い意識を持ち続け、最後までベストを尽くすというズラタンのプロフェッショナリズムを証明するエピソードと言えるだろう。逆に言えば、この勝負への飽くなき執念があるからこそ、これまでアヤックス、ユベントス、インテル、バルセロナ、ミランといった各国の名門チームを渡り歩き、それぞれに高い確率でタイトルをもたらすことができたのかもしれない。

 世界広しと言えども、これだけの実績とキャラクターを兼ね備えた選手はなかなか見つけることはできない。ある意味、近年不動の2大スターとされるリオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドよりも、周囲に与える影響力は大きいかもしれない。

 ズラタンが世界中のクラブから引く手あまたである理由は、おそらくそんなところにある。そして、今夏のユーロ後になるのかはわからないが、その去就が決まるまで"ズラタン狂想曲"は世界中を駆け巡り続けるはずである。


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