岡崎慎司の証言から探る「無冠の帝王」ラニエリ監督の正体 (5ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke  photo by AFLO

 その成果が、直近4試合でのクリーンシート。さらに、1-0の手堅い勝利が続いていることである。高速カウンターやハードワークに目を奪われがちだが、1点を守り切る"したたかさ"も、レスターは身につけているのだ。「暴れ馬」をうまく手なずけたことは、ラニエリの功績と言っていい。

 岡崎は言う。

「これが来年、再来年はどうなるかわからないけど、監督はどこに行ってもそんなに悪い成績を残していない。チェルシーでも、解任されたシーズンが『浮上のきっかけになった』と聞いているし、そう考えたら悪く言う人はいないと思う。このチームに合っていたってことですね」

 たしかに、レスターの戦い方に複雑な戦術メカニズムは見えない。だが、選手にやるべきことをハッキリとさせ、その戦い方を徹底させる。こうしたやり方が、「不安定さ」や「もろさ」が弱点だったレスターにピタリとハマった。

 ラニエリは何もしていないのか? いや、そんなことはない。チェルシーを離れてから監督として経験を重ね、アプローチの仕方を変えた。ピッチに目を向けても、レスターをチームとして進化させた。

 そして、プレミアの頂点に導くことになれば......、64歳にして初めて、1部リーグの栄冠をその手で掴むことになる。


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