岡崎慎司の証言から探る
「無冠の帝王」ラニエリ監督の正体

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke  photo by AFLO

 今シーズン開幕前に監督に就任したラニエリだが、昨シーズンは英国人のナイジェル・ピアソンが指揮を執った。昨シーズンは12月から春先まで最下位が定位置という"体たらく"だったが、ラスト8試合を7勝1分という驚異的なペースで勝ち点を重ね、奇跡的に残留を果たした。

 その引き金になったのは、積極的なプレスを武器とする「アグレッシブなサッカー」。守備時は5バックに変形する3バックシステムを採用しながら、前からどんどんプレスをかけて力技で押し込んだ。

 今シーズン序盤のレスターも、前任者の戦い方を踏襲(とうしゅう)したような試合が多かった。1点獲られたら、2点を獲り返す。第5節のアストンビラ戦では0-2から3点を奪い返して逆転勝利し(3-2)、第11節のWBA戦でも0-1でリードされてから3点を挙げて試合をひっくり返した(3-2)。その姿は、さながら「暴れ馬」のようだった。

 ただ、このときから岡崎はラニエリの采配について、「イタリア人だから失点を嫌う」「慎重」「固い」「守備重視」と話すことも多かった。つまり、前任者のストロングポイントを活かしながら、ゆっくりと自身のカラーである「堅実なサッカー」を落とし込んでもいた。勢い任せの大味なサッカーに、ラニエリがブレーキをかけていくことで、次第に安定感が生まれていったように思う。

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