リバプール戦の香川真司は、恩師クロップの前で無念のベンチ (3ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko 渡辺航滋●写真 photo by Watanabe Koji

 ドルトムントはブレーメン戦のように、攻撃のリズムを変えるための香川の投入があるかと思われたが、まずはヌリ・サヒンを投入。ユリアン・ヴァイグルとダブルボランチにすることで、守備面のケアを強化した。マッツ・フンメルスのゴールで1点を返したあとは、クリスティアン・プリシッチとCBソクラティスを投入。若くスピードがあるプリシッチを入れて攻撃のリズムを変えるとともに、最終ラインも固めようとした。交代は全体的に守備的であり、ホームらしからぬ不甲斐ない戦いといっていい。プレミアで優勝争いをするトッテナムを相手にしたときの勢いが、全く見られなかった。

 トーマス・トゥヘル監督は「調子も自信も精度も欠け、力を発揮することはできなかった」と振り返った。それはピッチ内だけでなく、指揮官の判断にもいえることではなかったか。

 一方のクロップ監督は「根気よく守り、組織的にプレーした」と内容に満足げだった。「アウェーゴールを奪ったことでアドバンテージがあるか?」と聞かれれば「フィフティ・フィフティだ」と冷静に語った。新旧指揮官を比べると、やはりトゥヘルより一枚上手という印象を残した。

 来週の第2戦に向け、ドルトムントが少々厳しい状況に追い込まれたのは間違いない。試合後、スタンドに挨拶に向かう選手たちの足取りは重く、クロップの笑顔とは対照的だった。3次予選から苦労して戦ってきたELはここで終わるのか。今季のドルトムントにとって、重要な一戦になりそうだ。

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