安定感欠く世界王者ドイツ。リーダー不在が影響か (4ページ目)

  • 山口裕平●文 text by Yamaguchi Yuhei photo by Getty Images

 現在の代表チームで主将を務めるバスティアン・シュバインシュタイガー(マンチェスター・ユナイテッド)は、気持ちのこもった激しいプレーでチームに闘魂を注入できる選手であり、ブラジルW杯でも副主将としてその役割を十分に果たした。だが、彼も近年は度重なるケガでなかなかプレーできていない。

 今回の代表戦には招集されたものの、練習で靱帯を痛め、5月中旬まで戦列を離れることになった。おそらくレーヴ監督は彼をフランスへ連れていく決断を下すだろうが、万全の状態に戻れるかどうかは微妙なところ。ブラジルW杯同様、シュバインシュタイガーの調子が上がるのを待ちながら本大会を戦わなければならない。

 シュバインシュタイガーが不在の場合にはGKマヌエル・ノイアー(バイエルン)がゲームキャプテンを務めるとされていたが、以前、「キャプテンマークを腕に巻くと煩わしく、プレーに支障が出る」と語っていたことが原因なのか、イングランド戦ではMFサミ・ケディラ(ユベントス)、イタリア戦ではFWミュラーがキャプテンマークを巻いた。

「我々の主将はシュバインシュタイガーだが、彼の周りには、その存在によって彼のような役割をこなせる、リーダー性を持った選手が多くいる」とシュナイダー助監督が語ったように、リーダーの資質を持った選手は少なくない。ドルトムントで主将を務めるCBフンメルスもその一人だ。だが、彼らがシュバインシュタイガーのような闘将と異なるのは、気持ちを前面に出して味方選手を鼓舞することがないことだ。ルーカス・ポドルスキ(ガラタサライ)もシュバインシュタイガーのような役割を担える選手だが、どちらかというとムード―メーカーで、途中出場が多い。

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