クライフはオランダサッカーの時計を止めてしまった (4ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper  森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

「オランダ病」のもうひとつの兆候は、ルイス・ファン・ハールがマンチェスター・ユナイテッドで苦戦していることだ。ファン・ハールの頭の中にあったフットボールはもう通用しないが、彼は代替案をまだ模索している。

 クライフ的なフットボールにはつねに「アップデート」が必要だと理解していたのは、クライフを信奉していたスペイン人のジョゼップ・グアルディオラだった。グアルディオラのつくったバルセロナと、今率いているバイエルンは、オランダ人にはできないことを成し遂げた。クライフのフットボールを21世紀仕様に替えることだ。

 オランダが落ちるところまで落ちた今こそ、クライフの魂を本当の意味で受け継ぐことを期待したい。それはあらゆる伝統を捨て去り、フットボールを一からつくり直すこと。アムステルダムのおしゃべりな若者が50年前にやったように。


【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】記事一覧>

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る