シャビ・アロンソ、アルテタ...名選手を輩出するバスク「虎の穴」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 さらにアンティグオコは出身選手が提携クラブから別のクラブへ移籍したとき、移籍金の10%を要求する。無名クラブにしては高飛車にも思えるが、相応の自信があるのだろう。過去20年、ハビエル・デ・ペドロ、アンドニ・イラオラ、アドゥリス、シャビ・アロンソ(バイエルン)、ミケル・アルテタ(アーセナル)など国際的に成功を収めた選手をざくざくと“産出”しているのだ。

「アンティグオコは独特のスタイルを持っている」とアドゥリスは明かす。

「トップチームがないから知られていないかもしれないけど、その分、選手たちに窮屈になるような圧力がかからないのさ。ボールを蹴らず、とにかくつなげる、というのが信条だね。自分はあまり器用ではないから、時間がかかる選手なんだけど、おかげでじっくり成長できたよ。シャビ(アロンソ)にしても、小さな頃は目立たなかったんだよ」

 アンティグオコは選手に基本を叩き込みながら、選手の長所も重んじ、決して焦らない。土台を作り、成長を待つ。物事を解決するのに自分と向き合うことが求められるから、独立心の強い選手となる。やがて、虎の牙と爪を持つようになるのだ。

 その点、アドゥリスは晩成型の典型と言えるだろう。

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