乾貴士がエイバルで戦うメリット。質実剛健なバスクの特殊性 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

「バスク人は秩序、規律、服従を重んじる。そこは日本人の性格と合っている。乾は監督のいうことを聞いて、必死に走るし、勤勉。その姿は好感を持たれるだろう」

 日本人サッカー選手、乾貴士にとって、バスクにきたことが幸運だったということか。

 乾が挑戦を続けるエイバルは、バスク地方のビルバオとサンセバスチャンという大きな町の間にある。町の規模も小さいが、クラブの規模も小さい。年間予算はレアル・マドリードの約30分の1。練習場は人工芝で、バスで遠征して隣町の天然芝の練習場を借りる。スタジアムも収容人数は5000人に満たず、Jリーグだったら、基準を満たしていないだろう。

 そんなローカルクラブが、どうして1部リーグの強豪と互角に渡り合えるのか?

「私は選手時代、特別取り柄のない選手だった。だから、気持ちを見せる選手を好む。全てを出し切るような選手をね。結果として、取り柄はなくてもトロくは映らないし、チームに必要な選手となるんだ」

 エイバルを率いるのは2度目になるホセ・ルイス・メンディリバル監督は明かしている。メンディリバルはバスク人だが、「全力」という流儀はエイバルそのものかもしれない。

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