南野拓実が直面する厳しい現実。「なぜ先発じゃないのかわからない」 (4ページ目)

  • 山口裕平●文 text by Yamaguchi Yuhei photo by AFLO

 だが、21歳の若者は悲観しているわけでもない。ポジションが安泰ではないからこそ、監督が何を必要としているのか、その中で自分に何ができるのかをさらに考えるいい機会にはなっている。

「シーズンを通して戦う上でこういう時期はあるし、この状況は『普通』なんで、これを乗り越えていければいいかなって思ってます」―――チームには将来有望な若手選手が数多く在籍し、しのぎを削っている。その時々で好調な選手が起用され、その競争に勝ち続けなければステップアップは望めない。

 マッタースブルク戦では、元チームメイトで冬にドイツのボルシアMGに移籍したばかりのDFマルティン・ヒンターレッガーが観戦に訪れ、注目を集めていた。昨夏にはMFロマーリョがレバークーゼンに移籍するなど、ビッグクラブへの移籍を果たす選手は少なくない。「刺激を受けへんってことはないですけど、国が近いし、そういうのは普通なんやなって感じはします」という南野は、特別それを意識することなく目の前の戦いに臨んでいる。

 南野が重視することはずっと変わらない。結果だ。この試合でも1点リードの状況でピッチに入った南野は、「セカンドボールを拾うように」という監督からの指示を意識しつつも、ゴールしか考えていなかったという。「結果を出し続ければ文句はないと思います」と南野は言う。結果を出しても先発に選ばれないのなら、もっと結果を出すだけだ。

 この難しい状況は、南野がさらなる成長を遂げるにはかえって好都合かもしれない。ポルトガルで合宿が始まるU‐23代表にとっても、意味を持つはずだ。

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