南野拓実が直面する厳しい現実。「なぜ先発じゃないのかわからない」 (2ページ目)

  • 山口裕平●文 text by Yamaguchi Yuhei photo by AFLO

「チームとしてその11試合というのはバタバタした時期で、あまり攻撃の形が無かったし、最後は個の力と少ないチャンスをモノにして勝っていたと思います。その難しい中で自分がやるべきこともいろいろ考えてやっていたので、ゴールに向かうプレーというのが少なくなっていたというのは自分でも感じていました。チームが求めることもやりつつ、どうやって自分がゴール前に顔を出すかということができてなかったというか、そこにどう自分が向かっていいのか迷っていたというか......」

 通訳の不在も大きかったようだ。ある程度のコミュニケーションがドイツ語で取れるようになった南野は、今季から練習では通訳なしでやってきたが、より正確な意思伝達が必要とされる試合の際には通訳がベンチ入りしていた。だが、ノーゴールが続いていた期間は通訳が試合の際も付かず、「監督の意図を分かっているようで分かっていなかった」という。

 ザルツブルクは首位争いを演じていたにもかかわらず、年末には監督交代を行なった。それだけチームがうまくいっていなことを上層部も感じていたのだろう。それにともない戦いにも変化が見られた

 現在のチームには、その若さゆえ、勝っている状況でも無理に攻めに出て自ら試合を難しくしてしまう部分がある。ペーター・ツァイドラー前監督はチームのスタイルであるプレッシングサッカーを展開していたが、バルセロナ出身のオスカル・ガルシア新監督はそのスタイルを引き継ぎながらも、試合をコントロールするためにポゼッションの要素を少しずつ取り入れようとしている。

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