6年連続CL1回戦敗退。アーセナル・ベンゲル解任論のリアリティ (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke  photo by AFLO

 ふたつ目は、イヴァン・ガジディスCEOと筆頭株主であるスタン・クロンケが、『ベンゲル擁護派』であること。フランス人指揮官は経営に深く関わっており、クラブを企業として見れば、負債の少ない超優良企業。おかげで、巨費を要したエミレーツ・スタジアムの建設費も返済のめどが立った。

 最後の理由は、最適な後任が思いつかないこと。現場と運営の両面で手腕を発揮できる人物は、そういない。アーセナル側が解任できるとは思えず、引き際はベンゲルしか決められないように思う」

 ところが、最近のベンゲル批判は、これまでのそれと少しばかり性質が異なるように聞こえる。

 今シーズンは、チェルシーやマンチェスター・ユナイテッド、リバプールといったタイトルをかけて争うはずのライバルたちが揃って不振。シーズンの折り返し地点で最大のライバルと目されたマンチェスター・シティも、「ペップ・グアルディオラ監督の就任」で決まった「マヌエル・ペジェグリーニ監督の退任」発表以降、急激に勝ち点を取りこぼしている。

 状況から言えば、2003-04シーズン以来となるリーグ制覇へ、またとないチャンスが訪れたように見えた。ところが、リーグ戦の直近9試合で2勝3敗4分という体たらくで、ひとつ消化試合の多い首位レスター・シティとの勝ち点差は「11」まで広がっている。チャンピオンズリーグでもバルセロナに力の差を見せつけられ、6シーズン連続でのベスト16敗退が決まった。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る