「ジダン祭り」は終わった。CL8強進出のレアルに見えた弱点 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

「私は選手だったから、よくわかる。試合とは簡単に落とすものだ。絶対などということはない」

 そう言って、ジダンは気を引き締めた。結論からいえば、レアルは2-0という問題ないスコアで勝利を収めている。

 しかしながら、足元はおぼつかなかった。ジダンはサイドに厚みを加えて崩し、中央にアタッカー陣が殺到する攻撃を好み、攻撃に人数をかけて敵を圧迫する。しかしマルセロ、ダニーロのサイドバックが高めにポジションをとるため、常に背後を狙われ続けた。とりわけマルセロにはディフェンダーとしての機能は乏しく、左サイドはずっと小火(ぼや)が起きているような状態だった。

 ところが、ローマが酷すぎた。プレッシャーの強度が低いために簡単にボールを持ち込まれ、中盤はほとんどボールを繋げない。セイドゥ・ケイタに昔日の面影はなく、ジェコもゴールに突っ込むだけ。ルチアーノ・スパレッティ監督は何を鍛えてきたのか、まるで伝わらなかった。唯一、モハメド・サラーがマルセロの背後を突く戦術策は功を奏していたが、決定力がなさすぎた。

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