エイバル乾貴士に立ちはだかる壁。バルサに「何もできず」大敗 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images

「乾は積極的にプレッシャーをかけ、必死にポジションに戻る。バスク人監督は従順さを求めるが、それを肌で感じているのだろう。監督の指示を遵守し、出場機会を増やしてきた。そしてなにより、乾はプレーにスピードを与えられる。両足を扱えるし、左サイドから中に入るドリブルプレーは相手にダメージを加えられる。とても可能性を感じる」

 その一方で、乾はチーム事情にも適応する力が求められるのだろう。

 エイバルは明らかに戦力的に乏しい。健闘してきたものの最近1カ月は勝ち星が少なく、後半戦に急降下して降格した昨シーズンと状況は酷似している(一度は降格が決まったが、経営問題でエルチェに降格ペナルティが科され、1部に残留)。互角に戦えない相手がいるのは確かで、守備に回る時間が長くなるのは避けられない。

 そこでセビージャ、バルサ戦では4-4-2というシステムで挑み、サイドの選手は相手の攻撃を封鎖するのが仕事だった。バルサ戦に至っては、ボランチ的な性格の選手がサイドで起用された。

「守備の強度が足りない」と指摘される乾は厳しい立場と言える。また、乾はタッチラインで1対1の状況になれば優位に立つが、サイドハーフとして中央での仕事もしなければいけなくなると、途端に良さが消えてしまう。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る