スペイン2部タラゴナの鈴木大輔。退路を断ち「やられに来た」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images

 彼は果敢に運命を切り拓いた。

 実は、慣れ親しんだアルビレックス新潟から柏に移籍することになったときも、似たような思いだった。

「新潟では充実していました。でも、一回の練習で調子が悪かったら試合メンバーから外れる、そんな緊張感を求めるようになって」

 彼はそうやって自分と対峙し、成長してきたのだろう。2013年に柏に移籍後、当初はベンチを温める機会があったし、右サイドバックというポジションで起用されることもしばしばだった。しかし、「自分のプレーの幅を広げられる」と信じ、いつしか不動のセンターバックとなり、日本代表にも選ばれるようになった。昨年も「今までとは違う自分を見せたい」とビルドアップの精度を高めるなど、どこまでも野心的だった。

<自分の可能性を信じ、忍耐強く挑み続け、いつか流れを引き寄せる>

 そのライフスタイルは、ディフェンススタイルにも通じる。

「失点したら、もちろん責任を感じますよ。でも結局のところディフェンダーというのは、やられた経験は二度と繰り返さない、という部分を積み重ねていくしかない部分もあるんです。やられるパターンというのはやはりあるから、そこで対処法を作り出すように。その意味で言うなら、“最高のセンターバックになるにはやられる経験も必要なのかな”とも思います」

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