EL16強のセビージャは、レアル、バルサより「スペインそのもの」 (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Reuters/AFLO

「一瞬にすべてをかけろ。そこにフットボールに痺れる感覚はあるんだ!」

 サンチェス・ピスファンの観客はそう祈りを込め、選手たちの背中を後押しする。一か八か。その緊張感を彼らは楽しめる。セビージャがELで無双を誇るのは、そこに理由があるのだろう。重圧に快楽を覚える刹那的なマゾヒズムか。それはELのようなトーナメント戦に向いており、事実、過去10年でスペイン国王杯でも2度優勝し、3度セミファイナリストになっている。

 今シーズン、セビージャはEL3連覇を見据えている。切り札となるのは、レジェス、スペイン代表のビトーロ、ウクライナ代表のイェウヘン・コノプリャンカというドリブラーたちだろう。彼らがサイドを切り裂き、連係の中で妙技を見せ、観客を沸かせ、勝利を祝う。

「この町ではドリブラーが祝福される。祝福されるから、あいつらは気分が乗って躍動する。他の町ではそうはいかない。『もっとハードワークを』なんてケチをつけられて終わりさ」

 サンチェス・ピスファンの酔いどれファンはそんなことを言う。鷹揚なセビージャ人らしい言い分である。

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