先発復帰のハンブルガー酒井高徳が語る「記憶喪失」と上位陣いじめ

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by Getty Images

 ボルシアMG相手に見せたのはまさに、そのケルン戦と同様の姿勢だった。先制されても相手を怖がることはなかった。そのことがセットプレーから相手のオウンゴールを誘発し、カウンターからの逆転弾を生んだ。酒井は「少しチームの強さが出てきてるかな」と、粘り強さに手応えを感じていた。

 ハンブルガーはこれで、ドルトムントとボルシアMGに勝ち、ヴォルフスブルクと引き分けた。上位陣キラーと言っていいだろう。酒井は、「強いチームにつられて好結果が出たということもあると思う」と言いながら、それが今の自分たちの課題だとも冷静に受け止めた。 

「相手につられるところがうちの問題だと思います。強いところには『いくぞ』となるからいいけど、弱いところには『俺らはドルトムントに勝ってるし、いいサッカーをしていれば勝てるだろ』という雰囲気が流れ始める。攻撃が停滞し始めて誰も動かなくなって、守備に負担がかかって簡単にやられたりして……というのが続いちゃうんです。攻撃も守備も、どっちもしっかりしてないとダメだと思いますね」

 7戦勝ちなしとはいえ、手応えのある試合も戦ってきた。だが、どこかに緩さのようなものがあったと、勝てなかった時期を振り返る。

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