ブンデス連続先発の山口蛍が、35分で交代させられた2つの理由

  • 山口裕平●文 text by Yamaguchi Yuhei photo by Getty Images

 原因のひとつ目は山口の起用されたポジションにある。「与えられたポジションでできていない自分が悪いとは思いますけど、でもやっぱり自分の得意としているポジションではないので難しいところはありました」と自身も不慣れなポジションであることを否定しなかった。

 2つ目の原因は山口の「ボール奪取への高い意識」だ。トーマス・シャーフ監督が交代を決断しウォーミングアップ中のサリフ・サネを呼び寄せたのは、32分にボールを追いかけた山口がチームメイトのウフェ・ベヒと交錯し、相手にボールを奪われてカウンターを受けた直後だった。このプレーがシャーフ監督に決断をさせる引き金になったのは間違いないだろう。

 問題は味方と交錯したこと自体ではなく、山口がピッチ左から中央に走っていたときに起きたということだ。山口のポジションは右MFで、通常のポジション取りであれば起こらないプレーだった。

 もちろん試合中に選手が動けば通常と異なるポジションを取ることはあるが、山口はピッチ中央でのプレーに慣れているがゆえに、ボールサイドに寄りすぎてしまう場面が多かった。それはタッチライン際に立つシャーフ監督の様子からも見てとることができた。

 この試合でハノーファーは右サイドから攻め込まれる場面が目立った。原因は山口のボールを奪おうとする意識とポジショニングにある。象徴的だったのは21分のプレーだ。マインツがハノーファーの左サイドから攻撃を組み立て始めたとき、山口はかなり中央寄りにポジションを取り、ボールが中央に入った瞬間に一気に体を寄せてボールを奪おうとした。

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