「新参者」マンチェスター・シティが初のCL制覇に足りないもの (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke  photo by AFLO

 実際、スカッドの顔ぶれから言えば、ベスト8進出は至上命令である。FWセルヒオ・アグエロやMFダビド・シルバなど欧州屈指のタレントが揃い、今季はMFラヒーム・スターリングら新戦力も加わった。「ベスト16に進出した他のクラブと比べても、うちの攻撃陣は屈指の破壊力を持つ」とフェルナンドが胸を張るように、とりわけアタッカー陣の充実度が目立つ。

 しかし守備陣に目を向けると、一抹の不安を残している。特に今季は、守備の要であるヴァンサン・コンパニが慢性的なケガに見舞われ、本稿執筆時では復帰のめどすら立っていない。しかも、ニコラス・オタメンディとエリアカン・マンガラで編成するCBは敏捷性と機動力に欠き、「盤石」とは程遠いパフォーマンスに終止しているのだ。強豪相手に守備陣がどこまで踏ん張れるか──。上位進出は、この一点にかかっていると言ってもいいだろう。

 そしてもうひとつ、マンチェスター・Cに足りないものがあるとすれば、「経験」である。現役時代はマンチェスター・ユナイテッドの主軸として活躍し、現在はバレンシアの監督を務めるガリー・ネビルも、「シティには勝者のメンタリティが足りない」と強調する。タイトルやメダルの数を重ねると、自然と「勝負の分かれ目」や「力を入れるべきポイント」が見えてくるのだが、新興勢力のマンチェスター・Cは「ここぞ」という場面で勝負強さが欠けているというのだ。

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