「安くても勝てます」。弱小クラブのエンポリがセリエAで大健闘 (4ページ目)

  • 宮崎隆司●取材・文 text by Miyazaki Takashi photo by Getty Images

 現ナポリの監督、マウリツィオ・サッリが率いていた昨シーズンのエンポリも、実に高い評価を受けていたのだが、その昨季の同時期(第23節終了時)との勝ち点を比較すれば、今季はプラス9。エンポリは、節ごとのクラブ史上最多の勝ち点記録を更新し続けている。

 昨シーズン、「サッリ率いるエンポリが、もしゴンサロ・イグアイン(ナポリ所属のアルゼンチン代表FW)を前線に擁すなら、リーグ制覇も不可能ではない」との声が少なくなかった。そして今シーズン、サッリはイグアインが所属するナポリの監督となり、現在首位に立っている。

 その現状を鑑みれば、今季のエンポリもまた、評価に値することは間違いないだろう。クロスの総数では断トツ最下位(第23節終了時)だが、シュート総数では6位(同)。DFラインは極端に高く、リスクと常に背中合わせであることを覚悟のうえで設定されている。

 なぜこの弱小地方クラブがセリエAで良質なサッカーを見せて、上位にいられるのか。

 以下は、今シーズンから指揮を執るマルコ・ジャンパオロ監督の口癖だ。

「Lettura collettiva(組織・チーム全体としての状況判断)、この精度を極限まで高めなければ、エンポリのようなチームがセリエAで結果を出すことはできない。いい試合はした、だが勝ち点は手にできなかった、で終わる」

 この方針がチーム全体に浸透していることが、エンポリが今季のセリエAで上位をキープできている要因のひとつだろう。

 では、監督の考えが浸透するために、チームは質素にして1面だけのグラウンドでどのようなトレーニングを重ねているのか。それを次回、詳(つまび)らかにしたい。
(つづく)

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