コリンチャンスに合格した「雑草ドリブラー」蒔田泰広とは何者か

  • 栗田シメイ●文・撮影 text&photo by Kurita Shimei

 蒔田は、こんな未来図を描いている。

「僕の中で、ブラジルはプロとしての土台作りの場であって、『プロとは何か』ということを知り、学ぶための国。プロとして稼ぐ場所ではありません。あくまでも、ヨーロッパのクラブへ移籍するためのステップの場と考えています。とにかく、今はブラジルで活躍して、最短での欧州5大リーグのクラブ入りを本気で狙っています。21歳で迎える2020年東京五輪は当然意識していますし、その代表チームに入るために、今やるべきことをそこから逆算して分析し、日々の練習に取り組んでいます。

 もちろん、まだまだ課題はあります。フィジカルは弱いし、ゴール前で強引にシュートまで持っていけるメンタル面の改善も必要です。ただ、ブラジルでの経験によって、課題が明確になって、(プロとして)通用する部分がわかったことが大きい。エリートではない自分が、日本の五輪代表として東京五輪のピッチに立つ。想像しただけで、わくわくしてきませんか?」

 南米の強豪クラブでは、下部組織からトップチームへの昇格というのは非常に狭き門である。蒔田が進んでいく道のりは、決して平坦ではない。それでも彼のもとには、すでにドイツやイタリアなどの代理人からコンタクトがあるという。

 日本ではまったく評価されなかった“雑草”ドリブラーは、はたして日の丸のユニホームに袖を通して、東京五輪のピッチに立てるのか。蒔田泰広の“サクセスストリー”の続きを期待して、今後も彼の動向を見守っていきたい。

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