「パスが出る」。怖い岡崎慎司にボールが集まるようになってきた (4ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke  photo by AFLO

 日本人が見せる、『しまった』みたいな顔を見せた瞬間、相手は『こいつ、ミスった』みたいな感じになる。FWだったら、『何回ミスっても、決めればいいだろ』みたいな心持ちじゃないと、取り残されてしまう。ストライカーの本質は、勝敗と関係なくてもいいんじゃないか。『点さえ獲ればいい』というFWこそ、最終的に信頼されるんじゃないかと」

 もちろん、こうした発言は、仲間と築き上げた信頼関係があるからこそ成り立つものだ。たとえば、試合後のミックスゾーンでも、岡崎がいかに愛されているかが伝わってくる。バーディーが「シンジー」とウィンクして通り過ぎれば、親友のフックスは「イタダキマース」と日本語で茶化してくる。ウジョアやDFウェズ・モーガン、MFアンディ・キングも、岡崎の側を通り過ぎるときは自然と笑顔になる。

 岡崎の前向きな姿勢も、仲間たちの心を掴んでいる理由のように映る。筆者が目を引かれたのは、ストーク戦後にとった岡崎の行動だった。

 すでにトラックスーツに着替え終わっていた岡崎は、チームメイトと勝利を分かち合うためにピッチへ歩を進めていく。仲間とハグを交わしていくと、途中交代で入ったウジョアに声をかけた。ゴールを決めたウジョアの胸を「やるじゃないか」と言わんばかりにポンと叩くと、ふたりは笑顔に。今度はウジョアが二言三言、何かを言う。すると岡崎は、ひざを指差した。おそらく、ひざを痛めたと説明したのだろう。最後にふたりは抱擁を交わし、互いの健闘を讃え合った。もちろん、ウジョアは岡崎と定位置を争う最大のライバルだ。

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