「俺にパスしてくれ」。苛立ちあらわな岡崎慎司が見せた必死の動き

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke  photo by AFLO

 またしても、岡崎慎司にとって消化不良の一戦になった。

 1月2日に行なわれたレスター・シティ対ボーンマス戦で、ベンチスタートの岡崎に出番の声がかかったのは、65分のことだった。

パスが回ってこずに苛立つ仕草を見せる岡崎慎司パスが回ってこずに苛立つ仕草を見せる岡崎慎司 投入時のスコアは0-0。しかも、ボーンマスには退場者が出ていた。となれば、レスターが欲しいのは当然、「ゴール」しかない。先制点さえ奪えば勝利は間違いないように思えたが、守備意識を高めたボーンマスのブロックを最後まで崩せず、無念のスコアレスドローを喫した。

 もちろん、2トップの一角としてピッチに送り出された岡崎も、ミッションは「得点を挙げる」ことの一点に集約されていた。加えて、ゴールやアシストの結果が足りず、最近は「先発とサブの境界線上」という立ち位置に落ち着いてしまってもいる。束になって総攻撃を仕掛けるなか、日本代表FWがゴールを挙げれば、直近2試合で勝利のないチームに貴重な勝ち点3ポイントをもたらすだけでなく、自身の序列を引き上げる転機になりえた。

 しかし、岡崎はネットを揺らすことができなかった――。放ったシュートは、74分に放った1本。ゴールという結果で、定位置獲りにアピールすることは叶わなかった。

 岡崎は出場25分間のなかで、ゴールを挙げようとトライを続けた。投入時から目についたのは、最前線にとどまってラストパスを引き出そうとする高い得点意欲。「どんな形でもいいからゴールが欲しかった」と岡崎が語るように、これまで売りにしてきたハードワークや献身的な動きをセーブし、得点を奪おうと精力的に動いた。

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