ヒディンク・チェルシーの目標。「ファン・ハールのマンUに勝つ」 (4ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper  森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 しかし、70年代オランダの出身で今もフットボール界の一線で仕事をしている最後の「レジェンド」であるこのふたりは、気が合ったためしがない。自意識が高く、ユーモアのセンスもないファン・ハールは、ヒディンクをいらつかせる。一方のファン・ハールはヒディンクのことを、結果ばかり求める面白みのない指導者と考えていた。

「フース・ヒディンクのチームの作り方は、まったく好きではない」と、ファン・ハールは語ったことがある。マンチェスター・ユナイテッドの監督として、僕らの記憶に残るなかで最も退屈なシーズンを始める1年前のことだ。

 ファン・ハールとヒディンクは12月28日にオールド・トラフォードで戦い、このときは0-0で引き分けた。次は2月6日にスタンフォード・ブリッジで対戦する(そのときファン・ハールが、まだ監督の座にいればだが)。

 ファン・ハールに勝つこと、そして何かのトロフィーを手にすること。ヒディンクが名誉ある引退にたどり着くには、そのふたつが必要なのだ。そうすれば僕はやっとヒディンクと一緒に、2012年に企画していたテレビ番組を作ることができるのだろう。

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