2016.01.04

ヒディンク・チェルシーの目標。「ファン・ハールのマンUに勝つ」

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper  森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 ヒディンクが前回チェルシーの暫定監督を務めていたとき、彼の率いるオランダ代表でプレーしたボウデビン・ゼンデンが、ヒディンクの仕事のやり方をわかりやすい表現で僕に教えてくれた。「ヒディンクは最高の雰囲気をつくる人だ」と、ゼンデンは言った。「緩めるべきところは緩めるけれど、ベテランの選手たちにはそれとなく責任を持たせる。必要なときにはチームにプレッシャーをかけるが、そうでないときは好きにさせる。選手がちょっと楽しい時間が欲しいと感じているときには、彼も一緒に体を動かしたりする」

「ヒディンクはみんなをハッピーにしながら、責任も持たせるんだ」と、ゼンデンはさらに続けた。「ヒディンクがチェルシーの指揮をとったら、チームはまた勝ちはじめた。不思議な話だと思わないか? 前の監督(そのときの前任者であるルイス・フェリペ・スコラーリ)がダメだったわけじゃないと思われているけど、たぶんその印象は間違っているんだ」

「ヒディンクは集団を前にしても緊張をまったく見せないから、周りは彼がリラックスしていると感じる。彼がリラックスしていれば、周りもリラックスする。きっと多くの監督が、選手を統率して、やる気にさせなくてはと考えるだろうし、少なくとも一部の選手にはそうする必要があると思うだろう。でもヒディンクは、ときには周りをリラックスさせることも必要だと思っている。だって、みんないつも緊張しすぎているんだから」