不可解な言動の数々。解任されたモウリーニョの落ち度

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke  photo by AFLO

 さらに『デーリー・テレグラフ』によると、チャンピオンズリーグ・グループステージ第6節で、MFセスク・ファブレガスの先発落ちを相手のFCポルト陣営が事前に把握していたことを知った指揮官は、「少なくとも選手のひとりが情報をリークしている」と信じ込んでいたという。内部密告者の有無は定かではないが、疑心暗鬼に陥るほど、選手と緊張状態にあったことは間違いないようだ。

 問題発言やいざこざが起こるたび、選手とモウリーニョの間に亀裂が生じ、やがて埋めがたい大きな溝へと変わっていった……。解任発表後にテクニカル・ディレクターのマイケル・エメナロが「選手と監督の間に不和が生じていた」とコメントしたことでも、モウリーニョがスカッドを掌握しきれていなかったことは明白である。

 こうした一連の騒動、そして解任劇を目の当たりにして思い起こしたのが、FWディディエ・ドログバ(現モントリオール・インパクト)やGKペトル・チェフ(現アーセナル)、そしてDFジョン・テリーといった「モウリーニョ1次政権」を支えた選手たちの存在だ。

 ドログバとチェフは昨シーズン限りで退団。同じくチームの精神的支柱だったMFフランク・ランパード(現ニューヨーク・シティFC)は1年半前にチェルシーを離れ、第2節のマンチェスター・シティ戦のハーフタイムで途中交代させられたテリーについても、絶対的な存在でなくなった。1次政権を支えた“チルドレン”がクラブを去り、テリーもリーダーシップを発揮できなくなったのと同時に、モウリーニョの求心力が急速に低下していったのは、おそらく偶然ではないだろう。

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