不可解な言動の数々。解任されたモウリーニョの落ち度

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke  photo by AFLO

 そして、シーズン開幕戦となるスウォンジー戦(2-2でドロー)。ご存知のとおり、この試合でMFエデン・アザールの治療にあたったエバ・カルネイロ女医の行動に、モウリーニョは激怒した。医師にポルトガル語で卑猥な言葉を浴びせてベンチ入り禁止処分にした指揮官に、選手の間では「受け入れがたい行為」と眉をひそめる者もいたという。

 モウリーニョの不可解な行動はさらに続く。シーズン序盤からチームの成績が奮わず、「パフォーマンスで話にならない選手が3名ほどいる」と試合後のインタビューで発言している。これも発奮材料として期待を込めて口にしたのかもしれないが、むしろメディアは「犯人探し」に躍起になった(イギリスメディアでは、DFブラニスラフ・イバノビッチ、MFセスク・ファブレガス、MFネマニャ・マティッチの3選手が槍玉に挙げられた)。これまで、敵将や審判団に批判の矛先を向けることはあっても、自軍の選手に噛みつくことは稀(まれ)であった。

 ここに挙げた3つの事例を振り返ってみても、クラブの内部処理で済ませれば大事にはならなかったはずで、メディアを通じての発言の影響力を知り尽くすモウリーニョらしからぬ行動だったと言える。

 しかも、ゴタゴタはこれだけで収まらず、モウリーニョが選手の「モチベーション」や「姿勢」を疑問視する発言を残したかと思えば、指揮官にとって最終戦となったレスター・シティ戦後(1-2で敗戦)にも、「レスターの攻撃のうち、4パターンの練習を繰り返したが、そのうちのふたつでやられた。私は裏切られた気持ちだ」と、またも選手を断罪している。

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