リバープレートを圧倒。理想の王者バルサから何を学べるか (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 この決勝戦に先駆けて行なわれたサンフレッチェ広島対広州恒大の一戦は、広島が2-1で勝利を飾り3位に輝いた。快挙といえば快挙である。広島は過去4年で3度Jリーグを制しているので、いま時代を築いているクラブと言っていいだろう。強引に言ってしまえば日本のバルサだ。しかしサッカーのスタイルは非バルサ的だ。リバープレート的でもない。近いのは2011年型のサントス。後ろで守るタイプのサッカーだ。勝利と娯楽性をクルマの両輪のように追求するサッカーではない。

 舞台の横浜国際は、この場合、広島のホームだったわけだが、スタンドのムードは「頑張れ、広島!」で染まっていたわけではなかった。ホーム色はほぼゼロ。中立地で行なわれた試合のようだった。スタンドを埋めたファンが、広島の勝利に酔いしれたという感じもまったくしなかった。彼らの心をつかむような「よいサッカー」だったかといえば、疑問が残る。

 だがメディアは喜ばないわけにはいかない。バルサの優勝をメインに据えながらも、傍らで、広島の3位を思い切り讃えるだろう。本質がまるで異なる勝利を、結果をもとに「バルサ!」「広島!」と、同時に喜ぼうとしているわけだ。

 いったい日本は、バルサというクラブをどう見ているのか。いい加減、白黒決着させるべきだと思う。日本として一致を見なくても、ファンひとりひとりはハッキリさせた方がいい。どちらの理念、哲学にシンパシーを感じるか。その点をハッキリさせないと、議論は盛り上がらない。議論が盛り上がらなければ、サッカー熱も盛り上がらない、と僕は思う。

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