名将クロップ新体制でリバプールはどう生まれ変わったのか? (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke  photo by AFLO

 実際、フィールドを眺めていても躍動感が伝わってくる。FWとMFが前線から敵を追いかけ、高い位置でボール奪取を試みる。反対にボールを失えば、素早く「攻→守」にスイッチを切り替え、ボールホルダーに畳み掛けるように寄せていく。まだまだ完成度は低いとはいえ、いわゆるゲーゲンプレス(※)の片鱗も覗かせる。

※ゲーゲンプレス=相手の攻撃に対してすばやくカウンターを合わせるようにプレスをかける戦術。クロップ監督がドルトムント時代に完成度を高めて成功を収めた。

 攻撃にも厚みが出てきた。ファイナルサードでボールを持てば、味方選手がボールホルダーを追い越しながら、DFラインの背後へ飛び出す。就任時に「私のチームは毎試合フルスロットルで戦っていく」とクロップ監督が宣言したとおり、インテンシティの高いサッカーを披露し始めているのだ。

 そんなクロップ政権の集大成は、アウェーゲームでありながら4-1で圧勝したマンチェスター・シティ戦(11月21日)ではないだろうか。MFフィリペ・コウチーニョが敵に詰めてボールをかっさらい、ショートカウンターからDFエリアカン・マンガラのオウンゴールを誘発した1点目。さらに、MFエムレ・カン、コウチーニョ、FWロベルト・フィルミーノらの有機的なパスワークで奪った3点目。いずれも、「前へ」仕掛ける高い攻撃意識がゴールを生み出した。試合後のクロップも、「シティの思うような展開にさせなかった。完璧とまで言えないまでも、非常に良いパフォーマンスだった」と手応えを口にした。

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