やっとW杯予選初勝利のアルゼンチン。逆境で反骨精神に火がつく (2ページ目)

  • 三村高之●文 text by Mimura Takayuki photo by Getty Images

 しかしこの日はそのまま上がり、ゴールまで2メートルの地点でラベッシからのクロスを押し込んだ。70メートルの激走は、勝利への執念ゆえだろう。本職の守備でも貢献し、多くのメディアがつけた評価は最高の10点。一躍ヒーローとなったビグリアだが、「勝ち点3を取れたことが一番重要だ」とチームを最優先に考えていた。

 普段はやや不愛想なマルティーノ監督も、この日は記者会見で饒舌だった。「ホッとしたというより、素直に嬉しい。もし勝てなかったら、なんと言おうか考えていた」と、不安に駆られていたことも告白。選手たちに大きな賛辞を送った。

 その一方で、「チームをコンパクトにして戦ったことで、ボールを早く奪い、相手にスペースを与えないサッカーができた。高い気温を考慮していつもより15メートル下がっていたが、うまくコントロールすることができた」と、自らの戦術が功を奏したことも誇示していた。

 コロンビアは、攻撃の核であるハメス・ロドリゲスとグティエレスの2人が不調。試合前、グティエレスは、今年6月までリーベルプレートで同僚だったアルゼンチン代表DFフネス・モリとの対戦について、「彼は素晴らしい選手だが、どこから攻めればいいかわかっている」と自信を示していた。しかし完全にフネス・モリに抑えられたうえ、失点のきっかけを作って途中交替。ロドリゲスもボールを奪われて攻撃のリズムを潰すシーンが多かった。

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