岡崎慎司がプレミアで生き残るためのヒントは「パク・チソン」

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke  photo by AFLO

 岡崎の言う「気持ちの良さ」を体感できたのは、昨シーズンまで在籍したマインツだった。日本代表FWのクセや特性を知り尽くしたチームメイトから、動き出しに合わせてピンポイントのパスが入る。最前線に陣取る岡崎は、ラストパスを引き出そうと積極果敢に敵の裏を突けばよかった。結果、加入1年目にして15ゴールを挙げた。

「自分のことを理解してくれているチームでやるのは、一番気持ちいい。余計なことを考えなくていいじゃないですか? アピールしようとしなくてもいいし、90分間を通して、自分のことを理解してもらえる。コイツには一発があると思ってくれている」

 マインツで得た自信を胸に、岡崎は決戦の地・ブラジルに乗り込んだ。ブンデスリーガで掴んだゴールのコツが武器になるはずだったが、しかし、望んでいた結果は掴めなかった。ならば、どうするか......。ブンデスリーガでさらに技術を磨くこともできた。だが、リーグの難易度をひとつ上げて、選手としてさらに成長できる道を選んだ。「ここは自分が気持ち良くサッカーできる場所じゃない。レベルも高い」と言うプレミアリーグに、新天地を求めたのである。

 どうすればライバルとのポジション争いに打ち勝てるか。あるいは、屈強なディフェンダーをどうかわせばシュートにつなげることができるか......。劣勢にまわっても、効率的にゴールを挙げる技術も必要になるだろう。あえて厳しい場に身を置き、困難や苦難を乗り越えていくことで、「ストライカーとしてもうひと皮剥けたい」と考えているのだ。決意と覚悟を持って乗り込んでいるからこそ、プレミアで壁にぶち当たっても、岡崎に焦りはない。

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