W杯南米予選、波乱の開幕。メッシ不在アルゼンチンの苦境 (3ページ目)

  • 三村高之●文・写真 text&photo by Mimura Takayuki

 テベスにメッシの代役を期待する声もあるが、両者はプレースタイルが違う。テベスはゴールに近い場所で能力を発揮する。一方のメッシは、得点能力も非凡ながら、中盤やサイドに開いてのプレーが得意で、そこから攻撃を組み立ててチャンスを作る。マルティーノ監督も「テベスにメッシの替わりはできない」と明言し、完全なトップとして起用している。

 結局、アルゼンチンはパラグアイ戦も試合をコントロールできず、0-0の引き分けに終わった。メッシの欠場を想定し、彼の不在バージョンはかねてより準備してはいるが、それがうまく機能しない。知らず知らずのうちに、選手がメッシに頼り過ぎているのだろう。

 アルゼンチンは2試合を終えて勝ち点1の7位という状況だが、今後もさらなる苦境が予想される。11月12日に行なわれる第3節の相手はブラジル。ホームではあるが、宿命のライバルにはエースのネイマールが戻って来るのに対し、メッシはまだ復帰できない。そして17日の第4節はアウェーでのコロンビア戦。こちらも現在負傷中のハメス・ロドリゲスが戻り戦力はアップする。しかも試合会場のバランキージャは灼熱の地で、アウェーチームには厳しい条件となる。つまり、2連敗の可能性があるのだ。

 90年イタリア大会で準優勝したアルゼンチンは、94年アメリカ大会の予選では苦しみ、オーストラリアとのプレーオフに回ることとなった。今後の展開次第では、W杯で準優勝すると次回の予選で苦労する、という新たなジンクスが生まれるかもしれない。

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