W杯南米予選、波乱の開幕。メッシ不在アルゼンチンの苦境 (2ページ目)

  • 三村高之●文・写真 text&photo by Mimura Takayuki

 左ひざの負傷でメッシは不在。彼の代わりに10番を背負いキャプテンマークを着けたアグエロが早々と肉離れでピッチを去るという不運もあった。しかしそれでもこれまでなら、エクアドルに"完敗"することなど考えられなかった。エクアドルは引き分け狙いやカウンターオンリーでなく、ビッグネームに臆さずしっかりと攻めてきた。

 鋭いサイドアタックに苦しむアルゼンチンは多くのセットプレーを相手に与え、ついに耐え切れず、という感じで終了間際にCKから失点。その1分後には、絵に描いたようなカウンターでとどめを刺された。アルゼンチンがモニュメンンタル・スタジアム(リーベルプレート・スタジアム)で敗れたのは、1993年9月5日に行なわれたアメリカW杯予選のコロンビア戦(0-5)以来のことだ。

 アルゼンチンの第2節は、アウェーでのパラグアイ戦。直近の対決(コパ・アメリカ準決勝)では6-1で一蹴した相手だ。しかしパラグアイのベテランMFオルティゴサは、「アルゼンチンには世界トップレベルの選手がたくさんいる。でも別格はメッシだけ。それ以外の選手には対応できる」と試合前に自信を示した。

 このコメントは、非常に核心を突いたものだ。アルゼンチンにメッシがいる場合、相手はまず、メッシをどのように押さえるかというメッシ対策を考えねばならない。マンツーマンでピッタリ張り付くのか、2人でメッシ番をするかなどの作戦を立てる。そしてこの対策がこれまで培ってきたチーム戦術に足かせとなり、本来の力を出し切れなくなる。エクアドルも、メッシがいたらあれほど攻撃的にプレーできなかったはずだ。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る