117位から8位。ユーロ初出場ウェールズが急成長した理由

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke  photo by AFLO

なんとも、ウェールズらしい予選突破だった。

 10月10日に行なわれたサッカー欧州選手権予選、ボスニア・ヘルツェゴビナ対ウェールズ戦。敵地で引き分け以上の結果をつかめばウェールズの突破が決まるのだが、後半に2点を奪われて0−2の敗戦を喫した。しかし、同グループ3位のイスラエルがキプロスに敗れたため、本大会出場権となる2位以上が確定。試合には敗れたが、初めて欧州選手権への切符を手にしたのである。

ウェールズの悲願を達成して喜びを爆発させるガレス・ベイルウェールズの悲願を達成して喜びを爆発させるガレス・ベイル「僕の人生で、一番の敗戦。難しい試合になったが、予選突破は決まった。キャリア最高の瞬間だ。国際主要大会に出るのは、子どものころから夢だった」

 エースのガレス・ベイル(レアル・マドリード)が声を枯らしながら叫ぶと、副主将としてチームを引っ張ってきたアーロン・ラムジー(アーセナル)も笑顔で続ける。

「ついに、歴史を変えた。俺らは小国のひとつに過ぎないけど、やっと、やっと、国際主要大会に行ける。夢が叶った」

 試合終了後、ベイルは敵地に駆けつけたウェールズサポーターの前で、「よっしゃー!」と歓喜の雄叫びを上げた。選手たちに胴上げされたクリス・コールマン監督は、何度も宙を舞った。1958年のW杯スウェーデン大会以来、58年ぶり2度目となる国際主要大会への出場を決め、ウェールズ一行は喜びを爆発させた。

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