デビューから3戦連続出場。エイバル乾貴士を待ち受ける次なる壁 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by JamMedia/AFLO

 ポジション争いの1番手は、2部でのプレーが長い苦労人であるサウール・ベルホン。昨季9チーム目となるエイバルで1シーズンを過ごし、29歳で遅咲きの花を咲かせつつある。乾と2番手を争うのが、名門アトレティコ・マドリードの下部組織出身のケコ。彼も23歳にしてセリエAを含めて8チーム目になる。これに追随するのが、セリエAのエンポリから移籍してきたシモーネ・ヴェルディ、ブレーメンから期限付き移籍のボスニア・ヘルツェゴビナ代表イゼト・ハイロビッチだろう。そしてダビド・ジュンカは左利きのサイドバックだが、開幕から、守勢に回る時間帯は左サイドアタッカーのスペアになっている。

 もっとも、席順は常に変わりうる。

 デビュー3戦目のラス・パルマス戦、スペイン大手スポーツ紙「as」の乾に対する評価は0~3(3が最高)で1だった。ライバルたちは虎視眈々とその座を狙う。乾の場合、語学の面やプレー環境の変化などハンデも抱えている。過去にリーガに移籍した日本人は順応しようと凄まじいエネルギーを使うため、1~2ヵ月後には心身のパワーダウンを余儀なくされているのだ。

 そして忘れてはならないのは、乾が順応度を高める一方、対戦相手も彼に順応する点だろう。なにしろ、相手ディフェンダーはメッシやC・ロナウドと日常的に戦って鍛えられている猛者たちである。

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