CL連敗のアーセナル。なぜ2億ポンドの資金を使えないのか? (3ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke  photo by Getty Images

 補強の必要性が叫ばれていたのは、アンリが「背骨部分」と指摘していた3つのポジションだ。ひとつは、DFペア・メルテザッカーに年齢的な衰えが見えるセンターバック(CB)。左右の揺さぶりに滅法弱くなったこのドイツ代表に代わるCBのほか、MFフランシス・コクランひとりに任せきりのアンカーにも底上げが必要とされた。

 最後のひとつは、オリビエ・ジルーとテオ・ウォルコットのいずれかで編成するセンターフォワード。両者ともストライカーとして優れているが、「ポゼッションを効率的にゴールへ結びつけるワールドクラスを獲得できれば優勝に近づく」との声は、識者の間でも少なくなかった。実際、2年前にルイス・スアレス(バルセロナ)の獲得に動いていたことでも、フランス人指揮官が同様のことを考えているのは間違いない。

 それでも、補強には動かなかった――。ベンゲルはこう反論する。

「これまでの市場を見てほしい。2年前にMFメスト・エジルを獲得し、去年はFWアレクシス・サンチェスを加えた。そして、今年はチェフだ。私はいつだって投資を惜しまない。だが、難しいのは投資をする前に、投資すべき選手を見つけることにある。補強選手は、チームを確実に強化できる者でなければいけない」

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