CL連敗のアーセナル。なぜ2億ポンドの資金を使えないのか? (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke  photo by Getty Images

 ところが、である――。

 移籍市場で、アーセン・ベンゲル監督は慎重な姿勢を崩さなかった。イギリスメディアでは、カリム・ベンゼマ(レアル・マドリード)やエディンソン・カバーニ(PSG)ら大物ストライカー獲りが取り沙汰されていたが、即戦力の補強はチェフのみ。欧州5大リーグの1部クラブでフィールドプレーヤーをひとりも獲らなかったのはアーセナルのみで、プレミアリーグで5名以上の選手を獲得しなかったのもアーセナルだけだった。ウエストハムとのプレミアリーグ開幕戦を落とすと、優勝候補の呼び声は急速に萎(しぼ)んでいった。

 さっそくクラブOBたちは、補強戦略に異議を唱えた。ティエリ・アンリは「優勝を目指すなら、現在のチームは理想から遠い。何名か補強が必要なのは明らか」と苦言を呈すと、元イングランド代表DFのマーティン・キーオンも「序盤戦を見た限りで言えば、ストライカーが必要。ウィークポイントだ」と指揮官の考えに疑問符をつけた。

 批判の声はサポーターにも飛び火する。ファン組織『アーセナル・インディペンデント・サポーターズ・アソシエーション』は、「財政状況に見合った結果がついてこないのはおかしい」との声明文を発表。『アーセナル・サポーターズ・トラスト』も、補強計画についてクラブに質問状を送りつけている。

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