フィンランドで優勝争いを牽引。田中亜土夢、野望を語る

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao photo by Getty Images

 それにしても、なぜフィンランドなのか。9月10日のインテル・トゥルク戦で、自身の自伝本のPR活動のために古巣のスタジアムを訪れていたフィンランドの英雄ヤリ・リトマネンから(それぞれのチームでその試合で目立った活躍を見せた選手に贈られた)『リトマネン賞』をもらった田中だが、サッカーファンがフィンランドといって思い起こすことといえば、リトマネンの名前くらいではないだろうか。

 UEFAのリーグランキングでも37位と、お世辞にもリーグ自体のレベルが高いとは言えない。

「僕自身、フィンランドに対するイメージはまったくなかったですね。知っていたのは北欧ってくらいで、来る前に地図で場所を確認したくらいですから。正直、どんな場所で、どんなサッカーをするかも予想はつきませんでした。実際にプレーしてみても、Jリーグと比べてレベルが高いとは言えないと思います。ただ、チャンピオンズリーグ(CL)を含め、欧州のカップ戦に出場できる可能性があるチームなのでそれに賭けてみようと思ったんです」

 HJKは昨季、フィンランド王者として予選を勝ち抜きヨーロッパリーグ(EL)の本戦に出場した。しかし、今夏はCL、ELともに予選に出場しながら本大会を前に敗れている。CLでは予選2回戦でベンツピルス(ラトビア)に勝利したものの、3回戦でアスタナ(カザフスタン)に惜敗。EL予選プレーオフのクラスノダール(ロシア)戦では“敗者復活”を賭けたが、そこでも1-5と大敗した。

3 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る