岡崎慎司がプレミアで模索する「新しいストライカー像」

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke  photo by Getty Images

 一方で岡崎はどうなのか。日本代表FWは冷静に自身を分析する。

「(周りに比べると)個の能力では確実に落ちてしまう。ただ、俺は平均的に見れば、少し高い能力はあると思うんです。ある程度走れるし、身体も持つし、ケガにも強い。でも、『これだったら勝てる』というのが、自分にはないんですよ。ある意味、日本人は自分の形をもっていない選手が多いじゃないですか。ドイツで(日本人選手が)ハマるのは、周りが合わせてくれるから。バケモノみたいな個の力を持つ選手はそこまでいないけど、プレミアリーグにはいますよね。むしろ戦術とかをあまり気にせず、個の力だけでやる選手が活躍できる、という印象です。こうなると、日本人にはなかなか難しいと思う」

 岡崎の言う、絶対的な個の力──。レスターで今季すでに4ゴールを挙げ、イングランド代表としてサンマリノとの欧州選手権予選で先発出場を果たしたFWジェイミー・バーディーは、敵を圧倒する「スピード」を持つ。また、球離れが極端に悪いながら、ゴールやアシストの決定的な仕事をこなすリヤド・マフレズ(アルジェリア代表MF)には、相手を翻弄する「テクニック」がある。しかし、岡崎にはそうした武器がないという。それゆえ、工夫を凝らしてプレーしているのだ。

 たとえば、セカンドストライカーというポジション。「このチームでそういうタイプがいないから」という理由でこの役割を見出し、そして実践する。前線から献身的な守備でチームを支え、そして積極果敢に危険なエリアへ飛び出していくことで、ゴールを狙っているのだ。マインツ時代は最前線の1トップとしてゴールを量産することに専念していたが、こうした心境の変化についても「個の力」が多分に作用しているという。

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