守備で貢献しつつゴールを目指したい、岡崎慎司のジレンマ (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke  photo by AFLO

 たしかに、岡崎のプレーうんぬんの前に、チームパフォーマンスがまったくと言っていいほど振るわなかった事実のほうが遥かに重いだろう。動き出しが鈍いうえにパスを出すタイミングも遅く、アストン・ビラの左MFジャック・グリーリッシュを中心としたアタックに押し込まれていった。39分には先制ゴールを被弾。指揮官がなんとかして悪い流れを断ち切りたいと考えるのは自然なことで、1枚目の交代カードに選ばれたのが岡崎だった......ということになる。

 後半開始時からMFリヤド・マフレズをトップ下に据えた4-2-3-1に移行するも、それでも流れを引き寄せられず、63分に2点目を献上。これで決着がついたかと思いきや、追い詰められたレスターがここから勝負をひっくり返してしまうのだから、不思議なものである。セットプレーから1点を返すと一気に勢いに乗り、たった20分の間に畳み掛けるようにして3点を奪って勝利してしまった。

 勢いに乗ったら止まらない──。岡崎が「(このチームは)勢いですね」と語るように、ラスト20分間の総攻撃にはレスターのストロングポイントが凝縮されていた。選手全員が「縦へ」「前へ」という意識を強く持つことで躍動感が生まれ、チーム全体がフル稼働する。「俺が前から行くことで、チームが乗ってくる」と語る岡崎の積極果敢なプレッシングも、言わばこうしたプレースタイルのガソリンのような存在で、好調の原動力になっているのだ。

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