移籍市場の活用で競争力上げたチェルシー、下げたマンU (4ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper  森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

4 それでもベンゲルがGKを買ったのは正しい

 GKは、移籍市場で最も安く売り買いされるポジションだ。GKはチームの成績に大きく影響を及ぼすし、フィールドプレーヤーよりもキャリアが長いのに、なぜかそういうことになっている。アーセナルがペトル・チェフを1100万ポンド(約20億4000万円)で獲得したのは、安い買い物だった。

 一方、移籍市場で最も高いポジションはFWだ。そんなことを知っていても、マンチェスター・ユナイテッドが19歳のFWアントニー・マルシャルを3600万ポンド(約66億6000万円)で獲得した理由は説明しきれるものではない。

5 ベテランがクラブを去る前に後継者を育てておくべきだが、マンチェスター・ユナイテッドはその努力をしていない

 マンチェスター・ユナイテッドの監督だったアレックス・ファーガソンは2013年に出版した自伝で、世代交代を早めに進める必要性について書いている。「偉大な選手がクラブを離れることについては、非常に感傷的な思いを抱く。一方で私は、終わりに近づきつつある選手にはつねに注意を払っている。私の内なる声が、いつも問いかける。『あの選手はいつクラブを去るのか。いつまで働いてくれるのか』。経験から言えば、重要なポジションには若手選手を何人か育てて、準備しておかねばならない」

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