日本人選手のCL出場が難しくなった理由

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Getty Images

 大卒選手が増えた理由は何か。それは世の中の景気とも大きな関係がありそうだ。景気が悪くなればなるほど、セカンドキャリアを心配して、その数は増える。だが大卒は高卒より、プロとしてのスタートは4年遅い。武藤は7月15日で23歳になるが、23歳の選手を喜んで獲得するクラブは欧州には少ない。チャンピオンズリーガーはもちろん、欧州の上位クラスでプレイする選手が増えない理由はそこにもある。

 その国の経済と、サッカーのレベルは、密接な関係にある。経済がよければサッカーに追い風は吹くが、悪くなれば逆風になる。武藤はそういう意味でも日本のいまを象徴する選手と言える。21歳で欧州に渡った小野、稲本潤一、中田英より、期待値は年齢分だけ下がる。

 運に恵まれたのは本田圭佑だ。彼がフェンロからCSKAモスクワに移籍したのは09~10シーズンの途中。移籍交渉をしている時、CSKAはグループリーグの最下位にいた。長谷部誠が所属したヴォルフスブルクが、突破圏内である2位につけていた。ところがCSKAは、最後の試合で逆転。ベスト16入りを決めた。

 本田はそのタイミングでチームに合流。そのシーズン優勝したインテルと対戦して敗れた準々決勝まで、計4試合に出場した。その姿が、時の日本代表岡田武史監督の目に止まり、高い評価を得ることになったのだ。

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