選手の質のバロメーター。CLの舞台から日本人が消える日 (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Getty Images

 とはいえ、このシーズンの初めに最も期待を集めていたのは中田英寿だった。中田英は、その前のシーズン(00~01)はローマに所属していた。トッティとのポジション争いに敗れ、スタメン出場の機会は少なかったが、終盤の大一番、ユベントスとのアウェー戦では、存在感を見せつけた。

 残り5試合という段で、ローマは2位ユーベに勝ち点6差をつけて首位に立っていた。セリエA優勝の行方は、この直接対決の結果で決まると言ってよかった。だが、ローマはユーベに0-2とされる。このまま終われば残り4試合で1ゲーム差(勝ち点3差)。まさにローマに危険信号が点り始めたそのタイミングで中田英は交代出場を果たし、そして、いきなり放ったミドルシュートをユーベゴールに突き刺した。

 さらに中田英は1点差で迎えた後半のロスタイムにも、GKを泳がす強烈なミドルシュートを炸裂させた。そのこぼれ球をFWモンテッラが蹴り込み、ローマは引き分けに成功。優勝を手元にグッとたぐり寄せた。中田英はローマの優勝に大貢献。名を挙げることに成功し、翌シーズン、つまり01~02シーズン、30億円近い移籍金でパルマ入りした。

 パルマの00~01シーズンの成績は4位。CLは予備予選3回戦、対リール戦からの出場だったが、その時、パルマの本選出場を疑う者はいなかった。

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